日中古典弦索コンサート

  • 2018.12.07 Friday
  • 21:13
本格的な中国楽器アンサンブルを久々に聞いてきました。
三弦の談龍建先生は、私が北京で教わっていた聶靖宇先生の奥様です。
ご挨拶できて、聶先生もお元気と伺って嬉しかったです。



日本側の出演者の皆様、在日中国人音楽家の先生方、お久しぶりな方々にもたくさんお会いできました。

首席之夜

  • 2018.01.07 Sunday
  • 00:22
すごかった〜!すごかった〜!
昨日と打って変わって、曲間のMC一切なし、空気がピンと張り詰める首席達の本気を聴かせていただきました。
高胡、二胡、中胡、革胡の四重奏、高胡、二胡×2、中胡、革胡、大革胡の六重奏の編成を中心に演奏される現代曲の数々。
複雑なリズムと速いテンポ、不協和音、特殊奏法、伝統的ポルタメント、ありとあらゆる技法を駆使して完璧なハーモニーを操る6人の首席達の緊迫感のある演奏に、胡琴重奏もいよいよここまで来たか、という感慨を呼び起こされました。

二胡は民俗楽器だから音程が取りにくいとか、どこの次元の話ですかくらいに桁の違う世界。
6人もの奏者全員があの複雑極まりない現代曲を、当たり前のように瑕疵もなく弾ききり、美、哲学的な対話、ユーモア、色彩、情念、情熱 etc. 音楽で表現できるあらゆるものを怒涛のごとく次々に展開させていくその奇跡的な様に感激してしまいました。

曲も良かった。中国らしい旋律も取り入れつつ、しかし余りこだわり過ぎず、国は違えど同時代を生きる私たちが違和感なくすっと曲の世界に入れる。
CDと楽譜があったら、楽譜を見ながらもう一度聞いてみたいなあ。

自分が持っている「胡琴はここまでのことができる楽器である」という意識の枠は、これまでも、とてつもない演奏を聞くたびに何度も更新されてきましたが、今回もまた、枠組みが壊れて風が吹き抜け、さらに先が見渡せる感覚を得ることができました。

こういう感覚はすごく大切だと思います。例えるなら陸上の記録がなぜか次々に更新され続けるような。人間ここまでできるんだと知ることで、限界の壁が次々に乗り越えられていく。
ここまでできる(=ここが限界)という地平が広がることによって、自分の相対的立ち位置が更新され、自分もさらに進める気になる。この「その気になる」って力がありますからね、ほんと。

二胡の芸術性と胡琴重奏の可能性をぐいと押し広げて先進的な演奏を聴かせてくれた香港中楽団擦弦パートの首席達に心からの感謝と拍手と尊敬を捧げます!

...みたいな思いが終演後頭の中を渦巻いていたんですが、結局この日も撮影された聴衆の感想インタビュービデオでは、(さすがに二日続けてはないと思って油断してたのもあり、)単純な言葉しか並べられなかったので、恥ずかしすぎてアップされたビデオを直視できない(ノд`*)あう〜

コンサートミストレス、張重雪さん。
確か前回聴きに行った時はまだ首席じゃなかったのですが、今回は全体のまとめ役として実に堂々とした首席っぷりでした。さすがや!


前回聴きに行った時から交流のある革胡首席、董暁露さん、昨日からご一緒させて頂いている伊達さんとパチリ。

環保革胡を自在に弾きこなす董さん、格好良かった!

そして指揮者・楽団総監督の閻恵昌先生。お正月休み返上でこの二日間の演奏をこなした胡琴パートをねぎらう様子も、新作を書き下ろした作曲者達を讃える様子も、偉ぶったところがなくスマートで格好いい。
びっくりしたのはにっこり笑って「また演奏あるんですか?」と尋ねられたこと。「わ、私?あります!」と思わずきょどってしまいました。そう言えばFacebookで繋がっているので、投稿を見て頂いたことがあるんですかね。汗かいた^_^; でもお見知り置き頂けて嬉しい。

そんなわけで、次回「胡琴弦説・首席之夜」があるときは、もうちょっとインタビューにスラスラと答えられるよう勉強しようと思います。ねばーぎぶあっぷ!

胡琴弦説3

  • 2018.01.05 Friday
  • 23:19
エアラインエクスプレスから降りたまでは順調だったものの、ホテルまで迷いまくり、坂道を上ったり下ったり。流石に神戸からの格好のままでは汗だくに(-。-;

なんとか時間前に会場に着けて良かった...

コンサートは、前回の会場をイメージしてたら、すごく舞台もない小さめのリハーサル室のような部屋で、ちょっとびっくり。最前列ど真ん中が空いていたので躊躇せず座る(≧∇≦)
日本語でお声をかけて頂き、伊達さんとお会いすることができました。
だれか知ってる人がいたらいいなと思っていたので、なんだか嬉しい。

コンサートは休憩なしで12曲。二重奏、独奏、最終的には30人の大編成まで、ありとあらゆる味わいの楽曲が並んだプログラム。
これは1人で来たのはもったいなかった、と心底思いました。次はツアー組んで来なければ。

王先生を通して知り合ったコンミスの張重雪さん、Facebookでは体調悪いようだったのにそれを感じさせることなく、MCから演奏から見事にこなしていらっしゃいました。

最後には、香港中楽団の指揮者、閻恵昌さんも登場、お正月休み返上で素晴らしい演奏を披露した胡琴パートをねぎらうご挨拶。指揮棒持ってなくても指揮者オーラがキラキラ。




張さん着替えちゃってますが、私の服の色がもろに楽団と同じでした。

そうそう、またもやスタッフの人に声をかけられて、演奏後にインタビュー動画を撮影。前回よりは少しマシかなあ。でも相変わらず緊張して目線が変になってたかも。こういう時に恥をかくの分かってても逃げずに受けようとする自分を少しだけ健気と思う(≧∀≦) (でもいい加減もうちょっと上手く喋れるようにならりたい。)

明日はリハーサル潜入は無理そうなので、街を探検に行ってみようかな。でも予報では雷雨とか...。

授賞式&コンサート

  • 2016.05.05 Thursday
  • 09:59
前日遅くに到着したアツシ青年と、蘇州まで足を伸ばして楽器屋巡り。
朝少しだけ音楽学院で開かれている学会を覗き、上海駅から高速鉄道で蘇州へ。
夜にはコンサートがあるので、滞在3時間の弾丸ツアーです。

蘇州ではまだまだ現役の交通手段である輪タクに乗ったり、


楽器屋で上海に比べてあまりに安い弓や駒の値段に驚愕したり、板胡を試奏したり。鳴尾の中でブームの揚琴のバチと弦もゲットしてきました。



蘇州は最近、長年かけた蘇州駅の大工事も終わり、少しずつ街が整ってきて、なかなか良い街に見えてきました。
メイン通りから少し離れると、雰囲気ものどかで、上海より暮らしやすそうだなあ。

上海に戻り、ホテルに荷物を置いて、コンサート会場の上海交響楽団コンサートホールへ。
音楽学院からほど近いあたりに、こんな綺麗なホールがあったとは知りませんでした。上海在住のNさんによれば、2年ほど前にできたとか。



チケットもいい席を購入でき、ワクワクと開演待ち。特等席に次々にやってくる二胡界大御所たちをチェックチェック!
魯日融氏は相変わらずかくしゃくとして元気いっぱいだし、夫人を伴って現れた王国潼氏が水筒からお茶を飲む仕草はどこか品が良い。

19:30に開演、最初にアマチュアの部、次に専門の部の表彰が行われました。専門の部は一位該当者なし、順位もかなり意外で、コンクール結果ってやっぱりよく分からんところがありますね。

プログラムは以下の通り。

1.「流波曲」孫文明
アマチュア青年の部入賞者による斉奏

2.「空山鳥語」劉天華
アマチュア少年の部 斉奏

3.「弾楽」 孫文明
専門の部 孫文明演奏賞 薛辰茜(上海音楽学院)

4.「二胡随想曲第4号 戈壁」高韶青
専門の部2位 孫瑶琦(上海音楽学院)

5.「第四二胡狂想曲」 王建民
専門の部4位 王嘯(中央楽学院)

6.「漓江吟」 許舒亜
専門の部第3位 鐘笑天(上海音楽学院)

7.「静夜簫声」 孫文明
孫凰

8.「人静安心」孫文明
霍永鋼

9.「洪湖主題変奏曲」閔恵芬編曲
鄧建棟

10.「流波曲」孫文明
朱昌耀

11.「賽馬」黄海懐
出演者全員

前半はピアノが、後半は西洋オーケストラの上海愛楽楽団が伴奏。初めて生で聴く孫凰に鄧建棟、最後には日本でもファンの多い朱昌耀まで、豪華ゲストが並びます。

孫凰は超難度の曲を驚異的な技術で弾き飛ばすイメージでしたが、今日の「静夜簫声」も密度が濃くて良かったです。途中本当に簫の音が聞こえた気がしました。

イケメン鄧建棟が登場すると、会場からキャーと歓声が。見かけの通りの甘く端正な音色で弾いた「洪湖主題変奏曲」、まさに瑕疵のない玉という演奏でした。

朱昌耀の演奏は端正な中に味わいもあり、さすが二胡大師の風格!

今回のコンクールに名を冠される孫文明、「流波曲」はよく知っているものの、他の曲はほぼ弾いたことがなかったのですが、千斤を取っ払って弾く「弾楽」、八度調弦の「人静安静」や「夜静簫声」いずれもアイディアがあって、面白いじゃないか!帰ったら改めて孫文明の曲を研究してみようと思います。



コンサートが終わると10時前、明日も仕事のNさんと別れ、アツシ青年とあちこちうろついてやっと開いているお店を見つけ、遅い夕食にありつきました。

大師班

  • 2016.05.04 Wednesday
  • 06:55
王永徳、王国潼、魯日融、劉長福、キャラが立ち過ぎの4人の大師によるマスタークラス。二胡界の四天王揃い踏みといった風情です。



王永徳老師の江南紫竹講座。「題材は行街」。四天王中ただ一人マイクも使わず楽々声を張り上げ、いつものハイテンションで江南紫竹の特徴を説明、学生の演奏を手直しして行きます。


時々テンションが上がりすぎて上海語が混ざると、客席のお偉いさん方から「分からんぞ〜!」とツッコミが入ってなんだか微笑ましい。

王先生が、江南紫竹をよく弾く男子学生を舞台に呼び、二人で模範演奏をされた時には、中央音楽学院の劉長福先生や、今をときめく著名演奏家、鄧建棟さんまでスマホを掲げて動画を撮っていらっしゃいました。



短い休憩を挟んで、王国潼先生。曲は劉天華の「燭影揺紅」。
今朝から少し喉がいけないとのことで、水筒ご持参。体を正面をから外し、わざわざ横を向いて飲まれるご様子からも、品の良さがにじみ出ておられます。

学生にまず曲の内容を説明させます。一瞬戸惑いながらも臆することなく、曲の背景、解釈をしっかりした口調で述べる様はさすが。
学生からは「3/8拍子」「舞踏」「紅」といったキーワードが挙がりましたが、王国潼先生は、一般に信じられているその解釈を、実はそうではなかったはずだ、と時代考証を基にした深い考察を展開されました。
「燭影揺紅」という題名は、一種の曲牌で、内容とは関係ないんですって。初めて知った!
「今日は私の考えを述べましたが、是非明日の討論会でご指摘をください」と結ばれ、やっぱり最後まで上品でした。
メモを一生懸命取っていたら、王国潼先生だけ写真を撮り忘れて無念!

午後の一人目、魯日融老師。陝西の曲調を題材に、数々の印象的な名曲を物された先生です。テキストの作曲、編曲者のところで名前を親しく見るだけで、鳴尾の中では歴史上の人物とさして変わりがなかったのですが、目の当たりにしてみると、王永徳先生と同じ種類のエネルギッシュさで、全然過去の人じゃなかった(≧∇≦)

題材は「秦腔主題変奏曲」、魯老師の編曲で、私も大好きな曲。
印象としては、頭脳明晰。四天王中最高齢かとお見受けするのに、曲の来歴など話す時も年代までスラスラよどみなく、ただ一人プロジェクターを使ってパソコンで作った資料を示し、失礼ながら過去の人と思い込んでいたのでギャップが大きすぎました^^;



とはいえやはり情熱的で、持ち時間はるかにオーバーしているのに熱弁とどまるところを知らず。学生への弾き方の指導も、その正真正銘のオリジナルを目の当たりにできる幸運に、興奮してしまいました。

そして最後を締めくくるのは北の長、劉長福老師。
押出の良い長身に巻き舌の北方訛り、お偉い感じでとっつきにくい方なのかと想像していましたが、全然違いました。「魯先生の後に話すのは嫌だなあ、僕の方が先なら良かったのに」とぼやきながら始まった講義、子どもの頃のいたずら話やジョークを交えながら進んでいきます。
王永徳先生は、上海音楽学院の学生たちのお父さん的面倒見の良い雰囲気が満ち溢れているのですが、劉長福先生もなんだか北京のお父さんに見えてきました。



曲は今回のコンクールに名を冠される、流浪の芸人、孫文明の「流波曲」。指法弓法、52351から始まり52351で終わるこの曲の流れを、改めて教えて頂きました。

北京、上海、香港、西安、地域は違えど、激動の時代をくぐり抜け、二胡を守り後世を育ててきた大師達の連帯感、劉天華初めとする近代二胡の始祖達から受け継ぐ使命感、尚も衰えることのない中国民族音楽への情熱を感じることができました。

伝説的四大師達の講義を目の当たりにし、お腹いっぱい、満足感いっぱいの鳴尾の、後で気づいた大変な失策。

実はこの日の夜にもコンサートがあったのですが、この日はマスタークラスだけとなぜか思い込んでいた鳴尾、完全に聞き逃してしまいました。
名だたる若手演奏家の色んな形式での重奏のコンサートだったのに!
昨日夜遅くに上海入りした森敦志にも、「これを聞き逃すなんて...」と言われました。3ヶ月くらい引きずると思うので、そっとしておいてください...orz

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